2021-03-07
テーマ:親との思い出


課題図書を読んで書いたリブリオエッセイ、月間賞をいただきました。

挑戦5回目にして初受賞。
両親のことにも触れたので、とりわけ嬉しいです。
なんというか、オトナになってから褒められるって嬉しいものですなぁ。

これ、出版エージェントで辣腕編集者の城村典子さん主催の文章サロン「ふみサロ」での話です(※1)

……
『モノより思い出』 

「子供と一緒に飛び発とう! 親子留学のすすめ」(※2)を読んで、
『モノより思い出』という数十年前の車のCMを思い出していた。

親が、子どもを新車に乗せて、海に山に連れ出す。
「子どもとの思い出を作ろう」というもので、仕事に忙しい親世代には刺さったキャッチだった。

自分を振り返ってみると、
親から買ってもらったモノで手元に残しているのは数点しかない。

断捨離で、何もかも、それこそ旅館に嫁ぐ時に持たせてくれた「たんす」2竿の着物も、買い取り業者にすべて売っぱらった。

残ったのはカラになった たんすだけ。

今の自分に、不要なモノと必要なモノを見極めていると、
自分自身の価値観がだんだんと浮き彫りになってくるから、
断捨離はたんすの中も心の中もスリムにしてくれる。

いっぽう、親との思い出は 心のたんすの中に残ったままだ。
それはいつでも幸せに満ちた気持ちを引き出してくれる。

特に旅先の思い出は、風景のワンシーンの中に元気な両親がいて、
泳いだりはしゃいだりしていて、まったく色褪せない。

モノは断捨離できるけど、
思い出は断捨離できない。


新聞の読者投稿を読んでいると、お母さんやお父さんとの思い出をくっきりと書いている方が多い。

86歳の作者が、
死別したお母さんの面影を追い求めている自分を書いた作品を読んだ時には、
いくつになっても心の中には元気な頃の「母」が生き続けていることに気付かされた。

私もあともう少し、母と新しい思い出を作ろう、そんなふうに思う。

(※1)城村典子さん主催「ふみサロ」:30年にわたり著者1,000人の本を世に出した元角川出版ビジネス書部門編集長、辣腕編集者の城村さんが塾長を務める、文章の書き方サロン。

(※2) 課題図書「子供と一緒に飛び発とう! 親子留学のすすめ」添田衣織著(みらいパブリッシング