2020-05-15
テーマ:コロナ時代にお伝えしたいこと

このコロナ時代だからこそお伝えしたいこと。
その①をSNSにアップしたところ、たくさんの反響をいただきました。

自分の状況に照らし合わせた、実に具体的なメッセージも頂戴して、この時期、いかにたくさんの方が「漠然とした恐れ」をいだきながら
毎日を過ごしておられるか、よくわかりました。

その中で、親しい友人から 「あれも、話しなよ」 と押しが入りまして(笑)

両親や親せきにも内緒でやっていたこと。

そう、もしかしたら皆さんの参考になるかもしれない。
そう思い至り、思い切ってお話しします。

前回①で、恐怖と不安を乗り越えるには、
『書く』 そして 『ことだま』。
このふたつのチカラを借りる、そうお伝えしました。

『書く』ことで冷静になる。
『言霊(ことだま)』で明るさと元気を取り戻す。


実はこの次があります。
それは、『準備』です。
最悪を想定して準備すること。

わたしは、化学療法を受けながら、両親の介護をしながらこっそりと
この『3つの準備』 を、私と両親の3人分、おこなうことを決めたのです。

  1. 葬式の準備
  2. 相続の準備
  3. 遺言の準備

ナマナマしいでしょ?
あ、「最悪を想定して準備する」、なんてごくごく当たり前のことだって思ってますでしょ?
でもこれ、やらない人がものすごく多いんですよ。

だから、「備えあれば憂いなし」という有名すぎる格言が生まれるわけです。

この格言、孔子が編集したと伝えられる中国最古の歴史書「春秋左氏伝」 に書かれた、
『有備無患(ゆうびむかん)』の日本語訳です。
「備」えが「有」れば、「患」いごと、心配ごとは「無」くなる。

750年も前からこう言われてるってことは、大昔からみんなやってないってことですわ(笑)

『書く』ことで冷静さを取り戻していたわたしは、漠然と感じていた恐怖の正体を知りました。
それは、
自分が先に死ぬこと。

ひとりっ子で独身のわたしが親よりも先に死ぬこと。
げーーっ!
もしそうなったら何が起こるのか。

残された父は寝たきりだし、母はアルツハイマーになってる。
なんもできないよね。

わたしの葬式も出せないどころか、銀行でお金を引き出すことすらできない。
両親の名義になっているこの家は?
わたしが死んだあと、父母のどちらかが死んだら、この家に住み続けられるのか?
相続はどうなる?
からだにブワっとした電気が走る。

母は「死」に向き合うことを極端にいやがっていたので、わたしもそこには触れずにいました。
でも、今、この不安をつぶさなきゃわたしがつぶれる、
両親もつぶれる、
はやく準備しないとまずい、
そう思いました。

それで当時テレビで話題になっていた葬儀屋ベンチャーに
「相談にのって欲しい」とメールをしました。
びっくりするほど速く連絡がきた(笑)

「電話だと誰かに聞かれるかもしれないからメールでやり取りさせて欲しい」そう伝えて、
父が寝たきりだから、こっそり葬式の相談をしたい、
お通夜もお葬式もしないシンプルなやつでいい、いくらかかるのか見積りが欲しい、
とメールしました。
お金を準備しておかなきゃいけないから、
あんまりたくさん払えないから、と。


本当は、わたしが先に逝ってもいいように、
誰が先に行ってもいいように葬式の相談をしたかったんだけど、
それは葬儀屋の様子を見て、見積りが出てからにしようと考えました。

そして副作用が落ち着いたある日、親に内緒ですぐ近くのカフェでこっそり会いました。
両手に杖を持って、深々と帽子をかぶって現れたわたしを見て、営業マンの笑顔が凍り付いた。

「わたしの葬儀の相談だっけ?と思ってますでしょ?」
「いえ、そんな」
「いや、それも含みます(笑)」


営業マンは優しく笑って、話を聞いてくれました。
資料を出して、ゆっくり説明してくれた。

「あ、この会社なら安心して任せられる」、そう思いました。
それに葬式代、全部で30万を切ってたから。
だいじょぶ、これなら支払える、って(笑)

精神科医の樺沢紫苑先生は、
最近の脳の研究で、不安は扁桃体という脳の部位が興奮したときに起こり、
その興奮をしずめる方法は、「言語情報」だということがわかった、
とインタビューで答えておられます。

不安になったときは「ことば」にして口に出し、
その不安を人に「相談」することだ、
と。


今考えられる最悪のこと。
それは、わたしが親よりも先に死ぬこと。

その不安を乗り越えるために、
わたしはまず葬儀屋の営業マンに洗いざらい相談して、
ひそかに葬式の準備を始めたのでした。

長くなったので、次に続けます。
ナマナマしい話は続きます(笑)

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